
主任保育士は他の保育士からどのように見られているのか?
一般的な保育士の見方としては、
『現場には入りたい時に少し入るだけで気楽そう』
『給与に手当がつくから給料良いし、余裕がありそう』
『保育士を従える立場にあるから人間関係に悩まなそう』
というように、
『主任って良いな』
と、プラスの意見が多いです。
しかし、実際に現場で8年~12年の勤続年数を経て主任保育士になった人達は、辞職という2文字が常に頭をよぎるほど、悩むことが沢山あります。
この記事では、できることなら主任になりたくない保育士さん向けに、主任保育士の知られざる苦悩と、その解決方法についてお話していきます。
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主任保育士独特の立場における『辛い、辞めたい』悩み
同世代や先輩保育士への指導方法が分からない
主任保育士がよく悩んでいるのが『指導』についてです。
主任保育士は現場の保育士の中では最も上の立場なので、下の保育士達を統括し、必要に応じて指導しなければいけません。
しかし、あまり強く指導し過ぎると自信を喪失させて辞職に追い込んでしまう場合もあるので、指導の仕方にはかなり神経を使っています。
また、一番困るのが『同世代や先輩保育士への注意』です。
やはり、年齢を重ねていても『おかしい』と思われる様な保育をしている人はいますし、中には園の保育方針よりも自分の保育に自信を持って子ども達に接する保育士もいます。
そういった保育士達に、門が立たない様に指導して改めてもらうのはかなり大変です。。
言葉を間違えば『生意気』と言って、業務に支障が出る程の溝を作ってしまいます。
仕事が大変。責任が重くのしかかるので、主任手当くらいでは割に合わない
主任手当は確かにつきますが、「1万円~最大5万円程度」で、ずば抜けて役職付きの保育士が高給とも言えません。
主任手当がつく代わりに、主任保育士は現場で起こった事故やトラブルの責任を取らなければいけないので、手当が妥当かどうかは正直微妙なラインです。。
トラブルが起きてしまった際には、自分が犯したミスでもないことについて事細かに事情を聞き、保護者から何か言われてもきっちりと説明をして謝罪し、他の保育士をフォローすることが求められます。
他にも、行事の企画から書類の作成まで全て任されるなど仕事は大変ですし、段取りが詰まると全て主任保育士の責任とされてしまうので、このくらいの手当では割に合いません。
また、保護者からの苦情の窓口にもならなければいけないので、人によっては大きなストレスを抱えます。
これだけストレスも多く、失敗も許されない緊張続きの現場にも関わらず、給与に大して反映されないのは辛いところです。
園によっては特定のクラスに入れないので孤立する
保育の現場は保育士同士の連携が欠かせないので、自然とクラス担任同士には絆が生まれて、クラスごとに団結しているところが多いです。
しかし、主任保育士は一つのクラスの担任に指名されませんし、時間によって色んなクラスのフォローに回らなければいけませんし、立場上どうしても孤立しがち。
色々なクラスのフォローをするといことは、極端に言えば『園全員の子どもの性格・傾向を大体把握しておかなければいけない』ので、接する子どもによって対応を変える必要があるのです。
主任になりたての内は、仕事にも慣れていないので失敗も出てきます。
ですが、基本的に主任がミスをするというのはNG。
何か失敗すれば、『主任の癖に子どもに向き合えない』と、クラス担任の保育士からは疎まれる事もあります。
主任という立場上、どうしても厳しい事を言わなければいけない時もあり、どうしても主任保育士は孤立してしまう傾向にあるのです。
園長と人間関係が上手くいかずに悩んでいる
園長との折り合いが上手くいかずに悩むパターンも多いです。
園長がワンマン過ぎて現場の事を顧みない。
現場の保育士達から不平・不満が上がっても上手に調整してお互いの折り合いをつける。
これも主任保育士の仕事、役割です。
その過程で、どうしても保育士側に折れてもらわなければいけない場面が出てきますが、その交渉でかなり神経をすり減らします。
園長は基本的に現場にいた人だと、保育士から喜ばれますが、資格がなくても就職できるのが園長です。
ごく稀ですが、保育の知識がない人が経営者として園長に就任することもあり、現場の事を知らない園長が無理難題を押し付けてくるために、主任保育士がその被害を被る事もあるのです。
関連:「保育園の園長がむかつく」園長と合わない保育士がサラッと交わす対処と心得
自分のミス以外で頭を下げる機会が増える
保護者へ謝罪するのももちろんですが、園長など自分よりも上の立場の人へ謝罪するのも主任保育士の役割です。
「現場の保育士がミスをする=主任保育士の指導不足」
となるので、保護者から非難を受けた園長からミスをした保育士共々苦言を呈されます。
自分のミスでなくても、園全員の保育士を束ねる存在となると、主任の指導不足となるので、結果的に他の人のミスも主任が頭を下げなければならないのです。
これに対する精神的負担は非常に大きいです。
これが積もり積もって、主任保育士を辞めたいと考える人も多いのです。
結婚・妊娠が遅れる、なかなかできない
主任保育士は仕事も多く、園の中心的な人物として現場の保育士からも頼られる存在です。
しかし、この頼られるという感情、プレッシャーが、主任保育士の結婚や妊娠を遅らせます。
主任保育士は誰でもできる仕事ではないので、保育現場や園のことを理解した人でなければ務まりません。
なので、どうしても引き留められてしまったり、言い出せずにずるずると働く内に婚期を逃してしまったり、出産の機会を失ってしまう事もあるのです。
「できることなら早く辞めたい」「時短勤務に変更したい」「結婚して辞職したい」
と思っていても、『責任』という無言のプレッシャー、重圧から言いにくいと思っている主任は多いのです。
保育園の主任を任される保育士の悩みの解決方法3つ
① 積極的に現場に立って保育士とコミュニケーションを取る
主任保育士の孤立は、他の先生とのコミュニケーションが不足しているとも考えられます。
より信頼される関係作りがしたいと考えるなら、現場に入る時間を増やしたり、保育士達に普段から積極的に声を掛けて、段々と距離縮めることです。
休憩時間、朝のちょっとした時間、お昼寝中など、時間は探せば沢山あります。
『主任だから』と一線置いて接していると、どうしても叱責の方が多くなり、保育士達も「主任は怒ってばかり」と嫌なイメージを持たれてしまいます。
子ども同様に、普段から保育士ともコミュニケーションを取り、信頼関係を築いていきましょう。
② 指導で悩んでいるなら、同年代以上の保育士に相談してみる
主任保育士よりも勤続年数の長い保育士は結構います。
年齢を重ねた分、様々な現場や保育士に出会っている為、指導の仕方も心得ている人も沢山います。
『主任だから一人で解決しなければ』と思い込まず、積極的に現場の保育士に助けを求めてアドバイスを受けましょう。
その際の注意点ですが、愚痴っぽく聞こえないように伝えることです。
悪くばかり言ってしまうと、その保育士を通して色んな人に話が漏れてしまい、指導対象の保育士が『主任保育士から嫌われている厄介な人』というイメージを持たれて、孤立してしまう恐れがあります。
また、そうして主任から遠回しに悪口を広められたとして、辞職を考える保育士もいるので、相談・話し方には注意をしましょう。
③ 働きやすい保育所への転職を考える
一度根付いた体制はなかなか変わりません。
ましてや、自分より立場が上の園長の考えを変える事は不可能です。
居づらいと思うなら、『働きやすい保育所に転職する』ことも検討しましょう。
もし、辞めたとしても、主任としての経験があるなら、受け入れてくれる園は沢山あります。
また、あなたを主任として迎えたいという園もあるでしょう。
いきなり主任が無理でも、主任候補として受け入れてくれる保育所もあるので、『他園に移ってしまったら人生終わり』というように考える必要は全くありません。
自分が一番やりやすく、保育士としてしっかり活躍できる職場を選択する。
働きやすさややりがいを一番に考えることで、あなたに向いている保育所を探すことができるようになります。
主任という立場が辛くて明日にでも辞めてやろうと思い悩んでいるなら他園を検討するべきです。