保育士として働いていると、体調不良や家族の都合で「辞めるか」「退職するか」の2択で迷うことも多いでしょう。
ですが、慣れた保育の現場を辞めずに「休む」という選択肢もあります。
休職をして、働ける状況になったら復職することもできるのです。
辞めるのではなく、休職することで、本当に辞めたいかを考える機会になることもあります。
再び働くことができるようになった時に、「戻れる場」があることは、心の安定にも繋がります。
ここでは、保育士を休職する際の手続きや流れ、給料はどうなるのかについて説明しているので、ぜひ参考にしてください。
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保育士が休職をするための手続きの流れ
休職する場合の手続きの大まかな流れとしては、
- 休職する前に、指定休暇や有給消化する
- 休暇申請に必要な書類を取得する
- 職場に休職を申請する
- 休暇に入る
になります。
ただし、職場の就業規則で、規則や手続き上の書類などが決まっている場合があります。
就業規則で定められている場合は、就業規則に従って休暇申請していきます。
うつで休職する場合の手続き
保育士が休職する場合、大きく分けて二つの理由があります。
「病気やケガで長期に休む」
「介護や育児で休む」
の2つになりますが、うつなどの精神疾患を患った場合は、大まかに以下のような流れで休職します。
*手続きの流れ
2医師の診断書をもらう
3休暇の申請を行う
4休暇に入る
*必要な書類
*提出する書類
・休暇届(職場によってフォームが異なります)
・健康保険傷病手当金支給申請書
月に1度提出する書類で、医師の証明が必要となるため診察の際に一緒に記載してもらいます。
*休める期間
また、同じ病気で連続して4日以上、仕事に就けなかったことも条件となります。
休暇期間は最長で1年6か月間となります。
*傷病手当の額
受け取れる額は、給料の約3分の2程度支給されます。
1日の支給額は、支給開始日以前の12か月標準報酬月額を平均した額を30日で割り、2/3をかけた額となります。
うつ病は、自己判断では休職申請することができません。
なので、必ず精神科や心療内科など専門の病院を受診し、医師の判断とその内容を記載した診断書が必要です。
また、1週間から10日間前後の自宅での休養期間を経て、休暇に入ることがほとんどです。
自分の体調を園長や主任に口頭で説明すると同時に医師の診断書があると、休暇の判断がしやすい場合があります。
病気やケガでの休職の場合、会社からの給料は支払われず、健康保険から「傷病手当」が支給されます。
関連記事:「もしかしたらうつ病かも?」実体験から伝える!保育士のうつ症状と改善策
介護、子供のケガや病気で休職する場合の手続き
子供のケガや病気、親や祖父母の看護で、長期に休暇をする場合もあります。
この場合には、ハローワークへ書類を申請することで、介護休業を取得することができ、「介護手当」を所得補償として受け取ることができます。
「介護休暇」と「介護休業」は内容が大きく異なります。
介護休暇は、1人の介護につき5日まで、複数の介護の場合には最大10日まで休むことができます。
就業規則で独自に規則を設けている場合があり、こちらの場合には、口頭で園長や総務に伝えることで完結する場合がほとんどです。
ただし、就業規則でこの介護休暇が認められていない場合には、有休消化もしくは無給となる場合があり、欠勤扱いとなることもあります。
手続きの流れと条件については、長期にわたって介護が必要な「介護休業」について説明していきます。
介護休業の手続きの流れと必要条件
① 2週間以上介護を必要とする親族がいること
病気やケガで要介護状態となっており、食事や排せつなどの生活面での介護が必要とみなされる状態であることが条件となります。
この場合の親族とは、
- 配偶者(内縁、事実婚も含む)
- 親、配偶者の親
- 子供
- 同居している祖父母、同居している配偶者の祖父母(扶養対象者)
- 同居している兄弟姉妹(扶養対象者)
- 同居している孫(扶養対象者)
が対象となります。
祖父母や兄弟姉妹、孫については同居かつ扶養していることが条件となります。
② 事業者に介護休業を申請すると同時に介護休業給付申請も同時に行う
③ 事業者が所轄のハローワークへ申請する
*必要な書類
<受給者申請に必要>
- 雇用保険被保険者証
- 賃金台帳出勤簿(添付書類)
<支給申請に必要>
- 休業開始時賃金月額証明書
- 介護休業給付金支給申請書
- 介護届申請書
- 住民票記載事項申請書
- 賃金台帳出勤簿(添付書類)
*休める期間
最大93日間休業することが可能です。
*手当
・介護休業給付
「休業開始時賃金日額×支給日数×67%」で計算されます。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000158665.html
休業に入る前の給料(ボーナスを除く)6か月分を180日で割って賃金日額を算出します。
1か月分の算定はこの休業開始時賃金日額に30日をかけて、さらに0.67をかけたものが支給されます。
保育士が休職する場合の注意点は?
うつなどの体調不良で休職するなら、「とにかく体を休め、休養することに専念すること」が最優先となります。
休めるからと、過度に遊び回ったり、資格の勉強をしたりすることは、NGです。
とくに注意してほしいのは、TwitterやInstagramなどのSNSにアップすることです。
他の人の目に触れることになるので、休み期間中とは言え、節度を持った行動をすることが大切です。
保育士の休職に関する疑問Q&A
【疑問①】休職中は職場から給料は出るの?
原則として、休業中の給与は会社からは支給されません。
ですが、所得補償として、傷病手当は健康保険組合から、介護休業給付は雇用保険から出ます。
【疑問②】休職中に貰える手当(補償)は?
傷病手当は、月額の給料(ボーナスを除く)のおよそ3分の2が支給されます。
【疑問③】休職中の年金や保険はどうなってるの?
年金や社会保険料は通常、半分を所属する保育園が負担して、残りを給料から差し引かれます。
休業中も同じで、個人負担分は支払うようになります。
【疑問④】休職後は同じ園に復帰しなきゃダメ?
介護休業も傷病による休業も、原則として「元の職場に復帰するため」の休業です。
とくに、うつなどで休業した場合においては、人間関係や仕事内容が原因で病気になったことが明確である場合には、同系列の保育園などに配置転換してもらえることがあります。
本人が元の職場に戻りたくない場合には、その気持ちを診察時に伝えておく必要があります。
【疑問⑤】休職中に転職活動しても良いの?
休職期間中は基本的に、元の職場に復帰することを前提として休職しています。
転職活動は身体がしっかり治ってからでも遅くありません。
もちろん、転職サイトの求人情報を見たり、サイトに登録することは構いませんが、休業中に面接をしたりすることは控えた方が良いでしょう。
面接をした際に、なぜ転職をするのか、志望動機を聞かれる場合があると思います。
その際に休業中であることを面接先が知った場合には、おそらく採用することを控えるケースがほとんどです。
また、うつの場合、判断力がいつもより鈍っていることもあります。
新しい職場で新たな仕事をするということは新たなストレスになります。
休業期間中はしっかりと体を休めることを優先し、復帰できるところまで体調が回復してから、転職活動を行っても遅くありません。
仕事を辞めるのは最終手段、休むことも選択できます!
うつ病や、家族の介護で長期にわたって仕事ができない場合には、辞めるという判断ではなく、「休む」という判断ができます。
仕事を辞めてしまうことは経済的な負担だけでなく、精神的な負担も大きいものです。
仕事を辞めるのは、最終手段と考え、休業制度を使いながら仕事のことを考えるのはいったんやめて体を休めたり、介護に専念したりするようにしましょう。