保育士は本当にハードな職業で、子どもや保護者、周りの職員との関係に悩んだり日々の忙しさから多大なストレスを受け体調を崩すこともあります。
『今の保育園を辞めたい』と考えている人も多いと思いますが、
▶「年度途中でも退職はできるものなのか?」
▶「もし年度途中で退職できたとしても、今後の転職活動などで影響はあるのか?」
など悩みはつきません。
そこでこの記事では、保育士が年度の途中で辞めたいと思っている保育士や幼稚園教諭の方に向けて、なるべく円満に退職できるコツやポイントを紹介しています。
円満に進めるための上手な伝え方、再就職の際に不利にならない退職理由の例文などを紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
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年度途中で保育士が円満に退職できるケースは少ない
今辞めようと思っている方には、少しお伝えしづらいですが、まず最初に悪い話をお伝えさせていただくと、年度途中で円満に退職できるケースはあまりないのが実情です。
この理由としては、保育園は4月の年度始まりから3月末の1年間をサイクルとしているからです。
入社する際に「年度末までは辞めないように」と言われたという保育士さんもいらっしゃるのではないでしょうか?
そのため、保育士や幼稚園教諭が年度途中での退職するのは円満退職というケースは非常に少なく、退職後はそれまで働いていた保育園に対して嫌な思いを抱いたままの人も多い現状があります。
ですが、年度末じゃないと辞めさせてもらえないという訳ではありません。
年度途中でも辞めることはもちろん可能です。
ただ、退職時はかなりのパワーを使うので、なるべく円満に辞められるように準備を進めていくことがポイントになります。
年度途中に退職したいなら、まずは辞めたい理由を明確にする
自分がどんな理由でその保育園を辞めたいのかがはっきりしていないと、「なんで辞めようと思っているの?」と聞かれたときに上手く答えられず、スムーズに退職の話が進みません。
ですので、「なんで辞めるのか?」の理由を自分の中で確立させておくことが大切です。
今働いている保育園を辞めたい理由が自分でもよく分かっていないというなら、「何が嫌で辞めたいのか?」を頭の中で整理し、具体的に嫌なことランキングなど、順位をつけて明確にしていくことで、退職したい理由が明確になります。
一時的な理由であれば解決することも
今の保育園を辞めたい理由が
▶「行事に追われてプライベートな時間が取れない」
▶「合わない先輩と一緒にクラス担任をしている」
などの一時的なものであれば、時間が経てば解決することもあります。
自分勝手な理由ではないか、解決策はないのか、もう一度落ち着いて辞めたい理由を考えてみてください。
年度途中で保育士を辞めたらどのような影響があるのか?
子どもたちや保護者への影響
担任を持っている先生ならば、クラスの子どもたちや保護者への影響が一番大きいでしょう。
担任の先生が途中で変わってしまうなんて、これは保育園の信用問題に関わります。
一年終えるまでに大好きだったはずの担任の先生がいなくなれば、その保育士だけでなく、園側も信用を失くすのは避けられません。
また、複数担任であっても、辞めた人の仕事をカバーするのは、残された職員にとっては負担が大きいものです。
担任をもっていない場合でも、他の職員に迷惑がかかることは頭に入れておかないといけません。
保育園や幼稚園などに与える影響
退職者が出れば、当然、辞めた人に代わる保育士を探さないといけないので、後任を探すために多大な時間やお金がかかります。
ですが、人材補てんには、予定していなかった時間やお金をかけて募集を行うので、残された全員に多大な迷惑がかかるのです。
辞めた人と同じくらいのスキル、もしくはそれ以上のスキルを持った人がタイミングよく入社してくれると良いのですが、都合よく就職希望者が現れるなんて奇跡は起きません。
状況的に、今いる職員で回すことも考えられますが、それでも人員は必要になってくるので探す手間はかかるでしょう。
人員補てんは時間もお金もかかりますが、何より残された保育士は保育現場によっては大変な思いをすることもあります。
年度の途中で辞めるということは責任放棄することと同じ意味合いを持っています。
あなたが辞めることで、年間予定で組んでいることもすべて1から組みなおししなきゃいけなくなるので、「行事担当や日々の役割など」あなたのやっていた仕事を誰かが負担することになります。
幼稚園教諭の方が年度途中の退職はしづらい
実は、保育士よりも幼稚園教諭の方が途中退職しづらいです。
その理由としては、幼稚園は基本的に一人担任なので、なかなか穴をあけられないケースが多いからです。
職員数がギリギリであれば、熱が出ても感染症にかかっても出勤するように言われることもあるほどです。
保育園同様、もしくはそれ以上に途中退職しづらいと考えておいた方がよいでしょう。
後任が見つかるまでは退職できない場合も
フリーの教諭がいればクラスを引き継いでくれますが、もしいない場合は後任が見つかるまで退職できないこともあります。
引き延ばされてズルズル続けることにもなり得るので、退職したい旨は早めに伝えるようにしましょう。
やむを得ない事情で退職しなければいけない場合は、園長にきちんと事情を話すようにしてくださいね。
年度途中でも辞めると言いやすい退職理由は?
▶「ただ仕事が嫌で辞めたいから」
▶「他にやりたい目標・仕事が見つかった」
程度では、園長先生もすんなり受け入れてくれる可能性は低いでしょう。
きっと「もう少し頑張ってみたら?」と、逆に引き留められてしまう可能性大です。
では、どういった退職理由が辞めやすいのでしょうか?
年度途中でもできるだけ円満に保育園を去りたい人のために、「これなら!」と思う辞めやすい理由をいくつかご紹介します。
① 結婚や家庭の事情で急に引っ越すことになった
計画性がないと思われそうですが、配偶者の都合で急な転勤が決まることは実はよくあります。
独身の場合でも、
▶「婚約者と急に引っ越しが必要となった」
▶「家族全員で引っ越すことになた」
旨を伝えればすんなり途中退職できる可能性は高くなります。
ただ一点だけ注意しておいてほしいのが、転居先を聞かれたときです。
実際には引っ越しする予定なんてないので、「新しい住所!?」と、てんぱってしまわないように、「まだ詳しく決まっておらず、落ち着いたら伝えます」と、上手に交わしましょう。
② 肉体的、精神的な疾患
病気という理由は、最も辞めやすく引き止められません。
病気を理由に辞められなかったという話は、保育士7年やっていますが、今まで1件もありません。
医師の診断書があれば、さらに信憑性も増すので、可能であれば実際に受診して発行してもらいましょう。
③ 家族の介護
あまり身内をネタに退職するのは気が引けますが、どうしても他に良い退職理由が見つからない場合は家族の介護を使いましょう。
親に限らず兄弟や親戚などの身内も家族に含まれるので、誰を理由にするのかはよく考えてくださいね。
介護なので、おじいちゃんやおばあちゃんのお年寄りを想定しがちですが、実はおじいちゃんおばあちゃんはあまり良い顔はされません。
だって嘘くさいですもん。
なので、できるだけ両親を使うのがすんなり辞めやすいと言えます。
ただし、信ぴょう性の高い理由をあらかじめ考えておくことが必要になります。
※注意※ 園の不満や悪口は言わない
園に対して不満があっても、それを園長先生や上司にあたる先生に正直に言ってしまうのはあまりおすすめしません。
気まずいまま退職するのは自分にとっても不利になります。
「もうこんな保育園なんて辞めるんだから関係ない」と安易に考えず、最後こそ節度をもって接しましょう。
ですが、「もっとこうしたら良いのに」という改善案なら伝えても問題ありません。
ただ、これも大事なのは伝え方で、
「怒りながら言ったら文句」
「これが嫌で耐えられないんです泣と言ったら改善案」
となるので、悪口と捉えられない言い方・伝え方が大切です。
退職意思は誰に何て伝えればいいの?
いざ退職しようと思っても、その意思を『誰に、いつ、どのように伝えるのがベストなのか』分からないことも多いですよね。
辞めたいと、なかなか言い出しにくいからこそ、タイミングを間違えると後々気まずくなることもありますが、そうならないように、適切な伝え方を参考にしてください。
まずは主任、園長に伝える
退職の意思は、まずは直属の上司である主任に伝えましょう。
小規模な園で、主任保育士がいない場合は直接、園長先生に伝えるでも大丈夫です。
ただし、上司に伝える前に同僚に話すことは絶対にNGです。
同僚から園長の耳に入るといった最悪の事態は避け、ちゃんと自分で伝えられるように順番は守ってくださいね。
最低でも辞める2ヵ月~3ヵ月前には伝える
伝える時期は早いに越したことはありませんが、最低でも2、3ヵ月前には伝えておきたいものです。
園側は退職までに代わりを立てないといけないので、余裕をもって伝えるようにしましょう。
ただ、ルール(就業規則)的な話をすると、2週間~1か月前に伝えれば問題ないとされているところが多いと思います。
ですが、保育士の場合(とくに担任)は話は別です。(※法律的な話・修行規則的な話ではない)
年度途中の退職はなるべく早めに伝えることが大切です。
大きな行事前に伝えるのは控える
運動会や生活発表会などの大きな行事の前は、いつもよりバタバタしています。
職員が体力的にも追い込まれている時期に伝えても、落ち着いた話はできず、むしろ疎まれる可能性が大です。
年度途中でも保育士や幼稚園教諭を辞めやすい時期は?
① 行事や大きなイベントが終わったタイミング
保育園にとって行事というのはひとつの節目として扱われているので、行事後は非常に辞めやすいタイミングです。
自園にどんな行事があるのか確認しておきましょう。
② 大型連休に入るまで
引継ぎに十分時間をとれるという意味でも、大型連休に入る前は辞めやすい時期です。
何でもない平日に退職するよりもキリがいいので、連休前という区切りを頭に入れておきましょう。
③ 正式な退職日は上司と相談して決定
ひとりで勝手に決めた、と思われることも少なからずあるため、はっきりと日付を指定して退職したい旨を話すのもオススメしません。
自身の中である程度退職日の目安を考えておき、最終的には上司と相談の上で決めるようにしてくださいね。
正式に退職が決まったあとの過ごし方
もうすぐ辞めるから、といって手を抜いたり気を緩めるのはご法度。
退職日を迎えるまでは、まだ雇われている人間です。
転職を考えているのなら、できることから活動することも大切です。
退職までの時間を無駄にせず有意義に過ごせる工夫もしてくださいね。
仕事は最後まで責任をもってこなす
社会人として当たり前のことですが、受け持っている仕事は最後まで責任をもって進めましょう。
理由は何であれ途中退職によって周りに迷惑をかけることを忘れず、今まで以上の働きで責任を果たしましょう。
転職活動を開始
- 保育士求人サイトを見る
- 職安に出向いてみる
- 年度途中で退職した友人や先輩に話を聞く
など、まずはできることから始めてみましょう。
情報を集めておくだけでも、本格的に転職活動を始めたときに役立ちますよ。
保護者や子どもには辞めるって伝えるべき?
自分だけの判断で、退職することを勝手に子どもや保護者に伝えるのはトラブルの元にもなるため絶対にNGです。
園によっては、「たとえ年度末の退職であっても、保護者や子どもたちに伝えない」というやり方を取っている保育園もあります。
最後まで園の方針に従い、勝手な行動を起こすことはやめましょう。
年度途中で保育士を退職するのって転職に悪影響を及ぼす?
多少の懸念材料にはなりますが、辞めるに至った理由をきちんと説明できれば大丈夫です。
前職を辞めた理由や、転職先では年度途中で辞めないという決意をしっかり説明できるかが重要です。
たとえ面接の場で、理不尽な扱いをされたり、不満があって辞めた場合でも、必要以上に前職のことを悪く言えば、そのようなことを言う人だと評価されてしまうので、ネガティブな発言には注意しましょう。
また、面接でも履歴書でも嘘はつかないことが大切です。
転職先が同業である場合、特に市内、県内では園長同士が繋がっていることもあるため、退職した理由の嘘をつくのは避けましょう。
理由に矛盾があった場合に困るのはあなた自身です。
全てを話す必要はありませんが、最低限のことは正直に話すことが賢明です。
転職時に使える退職理由※例文付き
転職先の面接などで年度途中で退職した理由を聞かれた際に使える例文を紹介します。
・園の方針が合わなかったことが原因の場合
例文
ポイント
園のどのような方針が合わず、自分がどのような保育観をもっているのかを簡潔に伝えるようにしましょう。
ここでも前の園のことを悪く言うと印象が悪くなるので、あくまで自分には合わなかったという点を伝えるようにしてくださいね。
・人間関係が原因の場合
例文
ポイント
保育園は子どもがいて成り立つ職場です。
その大切な子どもに関することを絡めて伝えると、転職先も納得する可能性は高いです。
さらに自分も意見を出せる人間であること、成長したい意思があることも併せて伝えると期待値も上がりますよ。
・給料が安かったことが原因の場合
例文
ポイント
自分のできることをしっかりとアピールしましょう。
給与に反映されてもおかしくない内容であれば、ただのワガママでもなくきちんと評価されるはずです。
・サービス残業、仕事量の多さが原因の場合
例文
ポイント
就業時間内であればテキパキと作業をこなせる、効率よく事務仕事もできる、という姿勢を見せましょう。
オンとオフをしっかりと分け、健康で仕事に臨むことをアピールできると良いですね。
計画的に退職に向けて動こう
退職という大きな決断だからこそ、なかなか言い出せずに悩みにはまる人も多いでしょう。
しかし、我慢して働き続けていれば心身ともに限界をきたしてしまいます。
新しい環境で気持ちよく仕事をするためにも、年度途中だからと必要以上に気にしすぎず、早めに対処し、計画的に退職に向けて動いていきましょう。
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