保育園の食育活動の取り組みの事例やねらい、年間計画について

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子ども達の健全な発達は、身体面や精神面の保育のみでは賄えません。

保育所に入る0歳~5歳という年齢は、子ども達がこの先何十年と生きる事になる身体作りや、食への考え方を身に付けるのに、大変大切な時期になります。

この記事では、大切な時期だからこそこだわりたい『食育』について保育園や幼稚園でどんなことを行っているのかの事例の紹介や、年間計画、食に関する資格まで、保育士が知っておくべき情報を紹介していきます。

食育と一口に言っても、

  • 食品添加物を避ける園
  • 食べ物の旬にこだわる園
  • 実際に自分達が食べる野菜や果物を作っている園

など、取り組みは様々です。どれが正解などではなく、子ども達にとって良いのかを第一に考えて柔軟に考えを取り入れていきましょう。
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今、保育園や幼稚園で見直される『食育』そのねらいとは?

厚生労働省では、食育に対して以下の考え方で取り組む様に推奨しています。

①お腹がすくリズムのもてる子ども

② 食べたいもの、好きなものが増える子ども

③ 一緒に食べたい人がいる子ども

④ 食事づくり、準備にかかわる子ども

⑤ 食べものを話題にする子ども

引用:『楽しく食べる子どもに~保育所における食育に関する指針~』

食育活動を行うねらいは、食べる物にこだわるだけではなく、『食を楽しめる子どもへと成長するのを目的としている』のが分かります。

食べるというのは、自分の命を作る大切な行為です。

化学調味料や食品添加物に慣れてしまうと、その分病気のリスクも上がりますし、濃い味に舌が慣れてしまい薄い味に戻せず、病気の治療にまで影響を出します。

食を楽しめる事はもちろんですが、本来の素材の味にこだわる園や、旬の物が美味しく感じるのを体感し、旬の食べ物を取り入れる事が出来る子どもになる様にと、『上記+αの食育』を行う園も増えています。

【事例紹介】保育園での食育はどんな取り組みを行っているのか?

では、実際に保育の現場ではどんな食育を行っているのでしょうか。

食育は決して子ども達に大人が良い物を選別して食べさせるだけではありません。

どのような活動を行っているのか?事例を見ていきます。

・麻生保育園(北海道 札幌市)
syokuiku1麻生保育園では、月に一回『食育の日』を決めています。19日(しょく『いく』に掛けて19日)

この日は地元の食材を給食に取り入れたものを給食で提供し、調理員が保育室で食に関する知識を子ども達に伝えます。

食に関する旬の食べ物の紹介から始まり、お箸の持ち方など社会性も絡んでくる視点から食育を施してくれます。

また、日常の保育の中でも、畑の一部を借りて野菜を生産し、『自分で育てた物だから一口食べてみよう』という気持ちを大切にしています。


・北浦保育園(茨城県 行方市)
syokuiku2北浦保育園では、保育士や調理師が食べ物に関して話を行う以外に、ちょっと変わった取り組みをしています。

保育士が2ヶ月に1度に設定した「食育デー」に、調理の過程・変化が分かる食材を子ども達の前で実際に手品形式で行います。

他にも、食材の皮などを使って製作を行ったり、食べる以外でも食材に対し興味を持てるように工夫を行っています。


・青い鳥幼児園(栃木県 鹿沼市)
syokuiku3青い鳥幼児園では、本格的な米作りに取り組んでおり、土と親しむ所から食育を行っています。

田んぼ作りから行う事で、土離れの解消にも繋がりますし、自分達が当たり前の様に口にしている米を作る大変さを知って感謝するきっかけにもなります。

また、なかなか体験できない脱穀も自分達の手で行い、米が自分達の元に届くまでを全て知れる様にプログラムが組み立てられています。

参考:『保育所食育実践集Ⅴ―保育所における食育に関する調査研究報告書―』

食育に関係する行事はどんなものがある?

食育を実際に園で行っている所では、食育の行事として以下の事を行っています。

 自分達で栽培、収穫、調理をする

自分達で栽培した野菜を収穫し、自分達で調理して食べる園も多いです。

子ども達は『自分達が育てた+調理した』という意識が働くため、野菜でもどんどん食べる事が出来るのです。

 農場見学

野菜がスーパーなどに並んで売られている物しか見た事がなく、『野菜がどうやって実るのか知らない』子どもが増えています。

「野菜がどうやって実っているのか?」

「どんな世話が必要なのか?」

土を『汚い』と思わず触れ合える子どもになる為に、農場見学に行く園が増えています。

 保護者を交えてのクッキング

保育参観などで、保護者も交えて食に関する話を行ったり、親子でクッキングをする取り組みも進んでいます。

子ども達も調理の手順・お手伝いの手順を身をもって学ぶ事で更に家でも手伝いやすくなります。

 

食育の年間指導計画の書き方は?

各園で食育指導の書き方は異なりますが、以下の様にまとめている園が多いようです。

 

・0歳~5歳まで年齢に応じた『ねらい』と『内容』

0歳~2歳までは食に関しての知識を蓄える事、食べる事の楽しさを知る指導が中心のねらいにし、3歳からは栽培の知識や収穫の知識を段々と取り入れ、本格的な栽培を行い調理して食べる等をねらいにする。


・一年を通しての『栽培計画』

農業体験などをやっている園では、一年を通じての栽培計画を行っています。


・各月に行う『食育活動』

食材を栽培するのに必要な環境を学ぶ事から始まり、実際に食材に触れて調理の過程を経験する等、毎月違った取り組みを行う。


また、保護者にももっと食育を身近に感じて貰う為に、月に一度『給食だより』などの食育をまとめた物を配布する園も多く、忙しい保護者にお願いして食育に家庭でも協力して貰える様に呼び掛けています。

食育のスペシャリスト!食育に関連する資格一覧

syokuiku112このような資格をプラスアルファで持っておくと、自分の保育に更に自信を持って活動できるようになります。

こちらの資格は取得もそれほど難しくありませんし、かかる費用もそこまで高額なものはないので、食について深く知識を得たいなら、まずは下記の4つから取得を検討してください。

この資格は、保育園だけで使える知識ではありません。

あなたの子どもや家族に良い影響をもたらしてくれることでしょう。

食育インストラクター

健康的な生活を送る為に食材の選び方だけではなく、食材に関する知識、食の持つ魅力や食べる事の楽しさ、調理法を伝授する人を養成します。

内閣府認証のNPO日本食育インストラクター協会認定の資格で、保育所でもこれを持っていれば食育に高い関心を持つ園では評価されます。

費用は2級が食育・調理それぞれ5,250円、受講料はNPO協会会員の場合のみ1万円、それ以外は2万円です。

1級は受験料がNPO会員は1万円、それ以外は2万円、受講料は10,500円と一律です。

(※1級受講には、2級を受講後1年の食育実務経験が必要です。但し栄養教諭は免除されます。)

食育スペシャリスト

食が携わる現場で、実践的にメニューをプランニングしたり、将来的に食を専門として働いていきたい人に向いている資格です。

専門性が高いので認定試験も難しいですが、持っていれば食育に精通している人だと園からも重宝されます。

費用は受講料+受験料で、17万円前後かかります。その代り、持っていればどこででも活かせる知識・資格なので食育を極めたい人にはお勧めです。

食育アドバイザー

学習期間は平均して3ヶ月であり、気軽に取得出来て現場でも活かしやすい為に人気です。

安い所では46,000円から学ぶ事が出来る為、まずは食育を知りたいという入門編として使えます。

食育メニュープランナー

一汁三菜をモットーに、その年齢に一番合った健康的なメニューを提案する事を学ぶ資格です。このメニュープランナーは子どもだけではなく、大人のメタボリックシンドロームやアンチエイジングなどにも精通するので、保護者向けの情報も一緒に紹介すると余計に保護者も食育に興味を持ってくれるでしょう。

この資格は大体半年前後で取得可能で、費用は2万円前後で取れるのでとても手軽です。

フードコーディネーター

これも3、2、1級で分類されている資格で、年に一回の試験が行われています。

大体現場で必要となる知識、実践に結び付くのは2級以上なので、必ず1級まで全て取得しておいてください。

食事の楽しみ方、そして食事に良い環境作りなどに重点を置いている資格で、現場でも子ども達に食の楽しさを伝える際に役立ちます。

>>【食育の資格取得】資料請求はこちらからできます

保護者との食育連携の方法

syokuiku1123厚生労働省の食育に関しての指針でも、「家庭や地域との連携は必要である」と明記されています。

しかし、保護者の中には仕事が忙しく、なかなか食に時間を掛ける余裕がなく、食品添加物の入った物やお惣菜、既製品などを仕方なく子どもに与えている家庭も多いのが現状です。

そういった家庭の保護者に対し、『もう少し子どもの為に食事を見直して欲しい』とストレートに伝えるのは、頑張っている保護者を追い詰めるだけで溝を深めます。

 

食育に協力して欲しい場合、まずは簡単な事から頼んでいくと良いでしょう。

例えば、給食だよりを発行して子ども達に食育に関する知識を音読してあげて欲しいと伝える事から始めます。

そうする事で自ずと保護者にも食育の知識が身に付き、一緒にオススメのメニューなども載せておくとついでに目を通した際に『作ってみようか』という気にもなります。

今は一年中ほとんどの野菜が販売されており、その季節の旬というのを知らない保護者も増えています。

保護者に対しても食に興味を持つ様に働きかけるのも、保育所の果たす食育の役割に含まれているのではないでしょうか。

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