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保育園でよく聞く手足口病ってどんな病気?
手足口病とは夏風邪の一種で、エンテロウイルス属のコクサッキーウイルスにより感染し、口の中や手の平と甲、足の裏と甲に小さな水疱がいくつもできる病気です。
流行時期は、夏風邪(ヘルパンギーナ、プール熱)の中で一番早く、7月中旬~7月下旬にかけてピークを迎え、8月に入ると少しずつ減少していきますが、保育園などで集団感染をおこしやすいウイルスでもあるので、時期が過ぎても油断せずにしっかり予防と対策を行いましょう。
発症しやすい年齢は、90%以上の確率で5歳以下の乳幼児とされていますが、稀に大人が感染して重症化することもあるので十分注意が必要です。
また、手足口病は3~5日かけて自然治癒しますが、稀に髄膜炎や小脳失調症、心筋炎などの神経系合併症を引き起こす場合もあるため、高熱や嘔吐などの症状がある場合は速やかに受診を促しましょう。
手足口病の症状を見抜く5つのポイント
※こんな症状があれば手足口病にかかっているかも?
- 口の中、手の平と甲、足の裏と甲などに小さな水泡ができる(お尻やひざ、ひじにできる場合もある)
- 水疱の周りが赤い
- 口の中に痛みやかゆみを伴い食事を嫌がる
- 38℃以下の微熱がある(熱が出ない場合もある)
- 5歳以下の乳幼児である
感染すると厄介な手足口病の症状
手足口病の主な症状は、口の中、手の平と甲、足の裏と甲、稀にお尻やひざ、ひじに直径2~3mmの周囲が赤い水疱がいくつもできます。
手足にできる水疱が痛むことはほとんどありませんが、口の中にできる水疱はつぶれやすく痛みを伴うことも多いため、飲食を妨げたり機嫌が悪くなることも多々あります。
子どもが痛みを訴えたり機嫌が悪い場合は、できるだけ刺激が少ないのど越しのいい食材を選んで食べるさせるようにしましょう。
手足口病に感染しても高熱が出たという事例はほとんどなく、38℃以下の微熱がでるか発熱自体が無い場合もあります。
一般的に、熱が出ても数日で下がる傾向にあり、水疱は数日してかさぶたに変わり1週間もすればきれいに消えてしまいますが、油断していると何度も感染する可能性があるので、手洗い・うがいなどの予防を欠かさずに行いましょう。
手足口病の潜伏期間と感染期間
潜伏期間:3~5日
感染期間:5~6日(感染後2~4週間は排泄物よりウイルスの排出がある)
手足口病の症状が出ていない期間は3~5日とされており、手足や口の中に水疱ができ始めたら感染したとみなされます。
感染した後、痛みやかゆみが引いたとしても、水疱がかさぶたになってキレイに治るまではうつり易い状態にあるので十分注意が必要です。
また、排泄物からのウイルス排出は約1ヶ月ほど続くので、あくまでも感染期間は目安と捉え、しっかり予防を行いましょう。
手足口病の感染経路は3つ!
- 飛沫感染:感染者の咳やくしゃみによってウイルスが飛散して感染する
- 接触感染:ウイルスの付着した手で皮膚や粘膜に触れることで感染する
- 糞口感染:排泄物に触れ、ウイルスが付着したままの手が口に入ることで感染
手足口病の感染経路は、飛沫感染、接触感染、糞口感染で、一般的な風邪と同様の予防法が有効とされています。
しかし、完全に感染経路を絶つことは難しく、普段から手洗い・うがい、衛生管理を徹底しておくことが重要です。
また、保育園ではおむつ交換をする機会が多いので、二次感染を起こさない為にも衛生的かつ適切な処理を行うよう心がけましょう。
保育園でできる手足口病の予防法
- 石けんを使用した丁寧な手洗い
- うがいの徹底
- タオルの共用を止める
- 排泄物の適切な処理
当たり前の事だと思うかもしれませんが、手足口病の感染を防ぐには上記のような方法が一番効果を発揮します。
特に手洗いは重要で、排泄物を処理したり戸外で遊んだ後、食事の前は、石けんと流水を使ってウイルスを撃退しましょう。
少しでもすすぎ残しがあれば、ウイルスに感染してしまう恐れがあるのでチェックを忘れないでくださいね!
また、タオルを共用することで接触感染を起こす危険性があるので、自分のタオルと他人のタオルをしっかり使い分けましょう。
保育士がチェックすべき子どもの感染症状
※こんな症状が出たら感染しているかも?
- 園児の様子がいつもと違う
- 発熱がある
- 口の中に水疱ができて痛がる
保育園でできる予防と対策
<予防>
- 普段からこまめな手洗い・うがいを呼びかける
- マスクの着用を促す
- タオルやハンカチを友達同士で貸し借りしないよう伝える
手足口病は、保育園など子どもが多く集まる環境で流行しやすいので予防が欠かせない病気です。
保育園では、普段から手洗い・うがいの習慣を身に付けさせると共に、タオルやハンカチの共有をしないよう伝えることがとても大切です。
<対策>
- 口の中の水泡がつぶれて食欲が無い場合は、水分補給を促す
- 園内で感染者が出た場合、保護者へ予防を呼びかける
- おむつ交換する際、二次感染を起こさないように適切な処理を行う
- 感染の疑いがある場合、別室で保育を行う
感染者が出てしまった場合は、慌てず上記のような対策を実行すると共に、職員同士で情報交換を行い二次感染を引き起こさないよう努めましょう。
手足口病に明確な登園停止期間はない?
手足口病の登園基準を厚生労働省に記載されているガイドラインで確認すると、登園基準の目安は
発熱や口腔内の水泡・潰瘍の影響がなく、普通の食事がとれること。
「保育所における感染症対策ガイドライン」(厚生労働省より)
となっています。
手足口病に、公的な登園停止期間はありませんが、保育園は集団生活を送る場なので基準を設けている園も少なくありません。
一般的な保育園の登園基準は、
(1) 子どもの熱が下がっていること
(2) 水疱が乾いてかさぶたになっていること
(3) 通常通りの食事が摂れること
(4) 医師から登園許可がでる
などですが、園によって基準が異なるので、予め確認しておくことをおすすめします。
「プール遊びはいつ再開すればいいの?」
- 熱が無く体調が良い
- 水疱が乾燥してかさぶたになってから
他の園児への感染リスクを減らすためにも、上記の事を確認したうえで入水の判断をしましょう。
手足口病は子どもから大人へ感染するの?
手足口病は子どもの病気!なんて思い込んでいませんか?
確かに感染者の9割が乳幼児でと言われていますが、大人に感染したという事例も多く、子どもが感染するより重症化しやすいとされています。
<子どもと大人の症状の比較>
乳幼児 | 大人 | |
発熱 | 38℃以下 | 40℃前後 |
発疹 | 水疱ができるがかゆくない | 水疱ができるとかゆみが出る |
その他の症状 | なし | 爪が剥がれることがある |
この感染症にかかると、上記の表で示されている通り子どもとは比較できないくらい辛い症状が待っているようです…。
特に保育士は、子どもと関わる時間が長く感染しやすいとされているので注意が必要です!
手足口病の感染事例
<事例1>
朝、保育士が3歳児Aちゃんの視診をした際、赤いぽつぽつとした発疹を見つける。
よく見ると水疱のようになっており、手足口病の疑いがあるためすぐに保護者へ迎えを依頼。
保護者に園の登園基準と登園許可書が必要な網を伝え、医療機関への受診を促す。
検査の結果、「手足口病」との診断を受けその日は欠席していたAちゃんでしたが、次の日に登園許可書をもって登園。
事前に保育園での登園基準を伝えていたにも関わらす、「仕事が忙しいから」と言う理由で保護者は帰ってしまいました。
確かに、手足口病は登園停止の義務付けはされていませんが、感染後1週間は感染力が強く、集団感染を引き起こしかねないというのも事実です。
園長に相談した後、再度保護者と話し合う場を設け、ゆっくり休んで様子を見てもらえるようお願いしましょう。
<事例2>
夏場に差し掛かり、保育園で手足口病が流行。
予防のために手洗い・うがいを徹底していたのですが、完全に防ぎきることはできず、クラスで5人も欠席する事態に…。
毎日子ども達の健康状態を視診してはいたのですが、症状をしっかり把握していなかったのですぐに発見することができませんでした。
<事例3>
昨日、手足口病に感染していた子どもが登園。
お母さんが仕事を休めないため、保護者の了承を得て1日別室で保育を行う。
その5日後、急な発熱にうなされ、病院を受診すると、手足口病に感染していることが分かった。
保育士として手洗い・うがいには十分気を付けていたつもりでしたが、数日間お休みをいただくことになってしまいました。
事例から対策を考えよう!
手足口病は、感染力が強いのに、登園停止が義務付けられていないので、保育園などの集団生活の場に置いてはとても厄介な病気だといえます。
確かに保護者の気持ちも十分理解できますが、他の子ども達に感染を広げてしまうリスクや子どもの体調を一番に考えられるように、保育士がしっかりと病気の危険性を理解し伝えてあげることが大切です。
そのためにも、保育士自身が手足口病の知識や保育園の登園基準を把握し、病気を発見したり、保護者に説明できるようにしておくことが重要です。
また、事例からも読み取れるように、保育士自身も感染する可能性があるので、日頃からバランスの良い食事を摂り、マスクの着用や手洗い・うがいを心がけるようにしましょう。
保育士は体が資本です、感染病なんかに負けないようにしてくださいね!